『微風帯から』(思潮社)
視線は沈みこみ、うずもれて。あるいは、ふくれひろがり、弛緩して。再び閉じて、力なく互いに合わせられ。そうしてつねにそれ自体ではない、なにものかのために。ましてなにものにも似ない、そうした瞬間において。新しい予感はうながされていくだろう。だがはじまりは、すでにもっとも旧く――いつだって頬を不意に撫ぜている微風のよう。
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