囀り


囀りばかりが散らばっていたあの喪われた木陰のあたり あたしたちの中庭にいま木洩れ日は届かず 陽はたえず傾いている 薄曇の午後 ひかりのおとずれもまた 角度をうすく削ぎおとしていき

僅かに交差しはじめる むしろおぼろげな厚みさえ帯びたかのようにもみえる ひかりの肌理がひどく平らなものとなる そうした瞬間に 身をかさねあうように しばらくはそこに佇んでい

冬の陽差しのあたらない時分 この土地に沁みるかわいた空気 あたしたちの頬をたえず横切っていくおおくの匂い 匂いという匂いは やがて かさついた街の音のうちに編みこまれてしまい

ひとたちは膚を寄せあう からだじゅうをやさしい手触りにして ときに 温もりをはげしくたかめあおうとさえして ひと(つ)のたいせつな場所 複数のみずからを そこに 含ませようとして
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