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飛翔


    飛ぶことだけが翼をもった者たちの特権ではない。熱として互いをさだめあおうとする彼らの行く末にではなく、その背後にだけ、僅かに遅れながら炙りだされていく、名のない道のようなものが、儚げな航跡としてみとめられるとき、彼らの背にかろうじてみとめられる突起が、仮に翼と呼ばれる。それらはあくまで遺肢としてみとめられるのであって、天翔るものたちの過去は、夜盲性の未来のうちにいまもなおおもく傾いだままだ。彼らのひび割れささくれだった爪先は、滑走するために大地にささやかな牙を向ける。あるいは何度もくりかえされる捕食の失敗のために、あるいは餌となるべきものに食らいつくや否や吐き捨てるといったことのために。そしてそれは残酷なほど痛んでいる。飛翔のためでない歩行が行われているときでさえ、彼らの姿がまじめくさってみえるのは、翼とよばれるものの所有者が飛ぶという目的をたえず背負わされてしまうからにすぎない。